深圳プロジェクト
プロジェクト概要
更新日:2021年3月15日
WICの収益モデルについて
収入の双璧は賃料と
「イノベーション関連収益」
~深圳の発展追い風に長期安定稼働へ~
中国・深圳市で当社が運営主体となるワールドイノベーションセンター(WIC)開発構想の収益モデルについて概要をご説明します。WICは発展著しい深圳市の超一等地、福田区に弊社が所有(土地使用権)する東京ドーム3個分、およそ12万7千m²の敷地に複数の高層オフィスビルやイノベーション関連施設を建設するものです。
大規模再開発プロジェクトの中心はWIC、当局と調整大詰めに
コロナ禍もあって調整に時間がかかっていますが、現地当局は当社にWICを正式なプロジェクトとして進めてもよい、という基本的な考えを示しています。開発許可に向けて前向きなモメンタム(勢い)が生まれています。当社はできるだけ速やかに正式な開発許可を取得すべく精力的に協議を続け、図面作成、企業誘致などの作業を急ピッチで進めて参ります。
今後のスケジュールとして、当局は早ければ2022年にエリア内の既存施設を取り壊し、段階的に再開発に着工する考えです。中国はやるといったことは必ず、予定通りやり抜く国です。審査はいくつか山がありますが、できるだけ早く最終的な施工許可に漕ぎつけるため、今後は当局との様々な折衝が一気に加速してきます。大きな進展があれば逐次、ホームページなどで皆さまにご報告いたします。
賃料月300~400元/m²、人口増などで年5%増のトレンド織り込む
さて本題に移ります。WICの収益でなんといっても大きいのは賃料収入です。建物の設計や仕様の本格検討はこれからですが、成長率が大きい深圳の不動産市況など様々なデータをもとに試算すると、現時点では開発エリアや施設の機能などにもよりますが1m²当たり月額300~400元(4800~6400円)程度の収入が見込まれます。中国では階段など共有部分に対しても賃料が発生するのが一般的です。
現在はコロナの影響などで深圳も不動産ブームが一息つき、空室率はやや上がっています。それでも長期的にみればこのエリアは近隣の香港、マカオも含め大湾区(グレーターベイエリア)として中国が国家プロジェクトとして開発する構想の中心地としてオフィス需要増と人口流入が進むのは確実です。民間調査機関はこのエリアでは長期的にみると平均して年3~5%程度の賃料上昇が続くとの見方を示しており、当社もWIC収益モデルでは様々な新機軸でイノベーション価値の増大をはかることを前提に現時点で同水準の成長を織り込んでいます。中国が推し進める都市競争政策でも華南は最重要エリアの一つで、深圳はハイテクなど高付加価値技術の開発で内需をけん引していく要(かなめ)です。スタートアップとのマッチングやイノベーション関連データをまとめる情報システム基盤、入居テナント限定のコミュニティ機能などで最大限に体験価値を高めてご入居の企業様に喜んで頂き、それにふさわしい賃料を稼ぎます。
第二の柱は「イノベーション収益」 新興企業向け出資や大型イベントなど
これまでの資料をご覧いただければわかりますが、WICは単純なオフィスビルではありません。日本と中国、米国、欧州、アジアの有力なハイテク企業が入居して新たな技術の開発やマーケティングに取り組むとともに、活発に相互交流ができる「イノベーション・プラットフォーム」にします。テナント企業に至れり尽くせりの付加価値の高いサービスを提供することで、それにふさわしい対価を得ることも考えたい。ここでは賃料と並ぶもう一つの柱として「イノベーション収益」と呼びましょう。
例えば100万社ともいわれる深圳のスタートアップ企業を選抜したピッチコンテストや、中国各地域の優良企業、各省による技術見本市といった大型イベントを通年で開催すれば、比較的安定した収益を上げられます。次世代情報技術や自動運転(EV)、バイオ医薬などの領域で中国や世界の最先端有力企業がWICに集う大規模ハイテクフェアは、オープン・イノベーションと大型商談の舞台となる国際展示会として大きく育っていく可能性があります。
中国国内で第二、第三の投資案件発掘
深圳プロジェクトが軌道にのると中国内での企業買収や資本提携も有力な選択肢となります。広州、深圳を軸にした巨大なグレーターベイエリア(GBA)は、佛山など周辺大都市も含めスマート産業構造に転換しながらネットワーク構築型の成長を遂げています。当社としてもWICで情報収集力を磨き、GBAやそれ以外の地域でも様々な投資チャンスを模索していきます。将来的にはシンガポールなど海外有力ファンドや投資会社などとの連携もあるでしょう。
未来のユニコーン発掘へ孵化機能果たす
進出企業への様々なコンサルティング業務のほか、成長の恩恵に浴する企業へ当社が資本参加する投資ビジネスやM&Aの仲介などもぜひ検討したい。深圳エリアにはすでに100万社というスタートアップがあるといわれ、日進月歩のインサイダー情報とビジネスチャンスは基本的に現地にいないと手にできません。この大銀河のようなベンチャー群の中から第2、第3のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)や、アジアで急成長を遂げるシンガポール発のグラブ、インドネシア発のゴジェックのようなユニコーンがこれから必ず産声をあげてくる。当社がスタートアップなどを支援する有力アクセラレータと資本・業務提携するなどして、将来有望な金の卵をできるだけ多く発掘し、資本投下することも考えられます。リスクも当然あるでしょうが、当社が深圳で長期間、腹を据えて資本支援することで起業を後押しし、イノベーションの媒介役となることができるはずです。
このようにWICで安定して得られる利益を日米欧からの進出企業やスタートアップ、中国現地企業への資本支援などに使い、イノベーションと成長の好循環を生むのです。当社はWICを基盤とし、技術革新を起こして長期の投資を呼び込む「エコシステム」を創りたいと考えています。そのために欠かせない技術の目利きや開発、イノベーション事業など各分野で有能な人材を招へいし、外国パートナーも入れてWICを立ち上げます。ハードとソフトの魅力を兼ね備えるWICを拠点に様々な収益モデルを考えたいと思います。
2022年度内着工、23年から段階入居開始目指す
WIC完工のスケジュールは現地当局と調整中ですが、コロナ禍などの影響で当初計画していた2022年秋よりもおおむね半年ほど遅れて進んでいます。順調に着工できれば2023年半ばくらいからは第一陣の企業様に先行して入居頂けると思います。これだけの巨大施設なので、毎年の減価償却や税金、運営・管理にまつわる外部委託費用なども相応に膨らみます。面積や容積率などは中国当局側と協議中のため具体的な金額のレンジをお示しすることは差し控えますが、2025年以降には建物がほぼフル稼働状態に入ってきて宮越HDの連結純利益は高水準となるとともに、その後も賃料引き上げなどで安定して収入が増えていく見通しです。
日本や米国、欧州、アジアの錚々たるハイテク企業が入居し深圳のスタートアップなどとオープン・イノベーションに取り組むわけですから、WICの存在感は深圳でも際立つものになる。イノベーションとは人々の生活をより豊かに、便利にするためのものです。アジアのシリコンバレーを目指す深圳でトップクラスのイノベーション拠点を作るからには、当社自身がビジネスのやり方をイノベートしなければならない。企業様のニーズに耳を傾け、独創的で付加価値の高いサービスをご提供することがWICの役割だと考えています。
次回はWICの運営モデルについてより詳しく解説いたしますのでご期待下さい。