当社は中国・深圳市で進めているアジアNo.1の「ワールドイノベーションセンター」(仮称、以下「WIC」)プロジェクトについて開発意向の申請書を同市福田区の現地当局に正式に提出致しました。私共にとっては創業来となる大きな節目のこの日をひとまず無事に迎えられたこと、多方面でご支援下さっている皆様に深い御礼の気持ちと共にご報告申し上げます。
やや極端な言い方になりますが、中国政府は良いと判断したものは徹底的に良い、ダメと考えた事は全部ダメ、という非常にはっきりしたところがあります。そして、良い事はやると決めたら、計画通り一気にやり抜く国です。その流れに乗ってWICも動いています。中国当局との折衝は天王山と言える段階に入ります。一方で、現地当局は外国企業である当社に対しても特別扱いや不利な扱いはせず、関連法規やルールに基づいてフェアな判断に徹していくとも表明しています。今回の意向表明とそれに続く開発許可に向けた本格交渉入りに伴い、日中経済友好の要となる歴史的な開発プロジェクトとして、また宮越ホールディングスが卓越した投資グループへ飛躍するスプリングボード(跳躍台)としてWICをやり遂げるべく、東京と中国にいる職員一同、気持ちを新たにしています。
中国と日本の都市開発プロセスには法律、関連諸規定など様々な制度面の違いがありますので、適切なディスクロージャーを心がけて参ります。現段階では今後の集中的な当局折衝を経て開発・実施主体として許認可を受け、収益モデルを策定・公表する段取りを想定しています。世界に例をみない魅力的なイノベーションセンターを早期着工できるよう邁進しますので、引き続き長期的な視点から当社の事業価値向上を温かく、そして楽しみに見守って頂きたいと思います。
さて、将来のことについても改めて少しお話させて下さい。本年3月8日にトップメッセージを更新した際、私は2026年までに時価総額5000億円、そして遅くとも10年後には1兆円を超えると初めて打ち上げ、大きな反響を頂戴しました。「今の事業規模に比して戦略や時間軸が飛躍しすぎでは?」といった素朴な疑問をお持ちの方もおられるでしょう。まず、私が温めてきたこの構想は、大前提として深圳プロジェクトの成功という地盤固めがあってのことです。無論、このプロジェクトに限らず米中摩擦激化などカントリーリスクは常につきまといます。それでも国境や業態の壁を越えたイノベーションには普遍的価値があり、この理念はビジネスにおいて強い生命力を持っています。これまでの企業誘致活動でもすでに多くの企業家の共感を得ましたし、これからも賛同者がグローバルにどんどん増えてくると信じています。そして40年を超える中国ビジネスの経験からくる中国市場への食い込み、ノウハウというユニークさを武器に、投資領域を深圳から日本やアジア諸国、さらにグローバルへと広げていきたいと思います。こうした成長のチャンスを着実にものにしていければ当社は、「1兆円は通過点に過ぎない」と言えるようなとても強い総合投資グループになると断言できます。
時価総額は目的でなく、あくまでも結果です。より大事なのは公器である上場企業として稼いだ利益をどう使い、還元するかです。社会的存在として永続的な恩恵をもたらす使命を果たせなければ、尊敬に値する会社とは言えません。私が3月に「絶え間ないイノベーションの点火役になる」と当社の存在意義を掲げたのも、オープンイノベーションで革新的な技術開発が進み、企業が質の高い成長を遂げるのを後押しできるような企業であり続けたいと考えたからです。当社はイノベーションを誘発する「蝶つがいの軸」となる組織です。東京の本社機能は今後も選りすぐりの30人以内に絞り、日本最高峰の報酬レベルを5年で必ず実現し、その後も収益力に応じてどんどん増やしていきます。
天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず――。孟子の有名な言葉が示唆するように、私共の大きな事業モデルは優れた人材あってこそです。求めるのは徹底した成果主義を追求する宮越グループの理念に全面的に共感してくれ、誰よりも腕に覚えのある実力者です。そういう人物に私は常に門戸を開き、ご縁がある日を待ち望んでいます。
2021年5月21日
宮越ホールディングス株式会社
代表取締役会長兼社長
宮越 邦正